ケメの口元のケガは、
一晩明けても、
出血のあとも生々しく、
相変わらず、
キバは折れて飛び出している。
(上写真参照。アゴが腫れあがって人相が変わっている)
妻と相談して、病院に連れて行くことにした。
我が家からさらに住宅街の奥深く、
小さな動物病院があった。
見た目は一般の住宅なのだが、
建物全体にツタが絡まりひときわ目を引く。
ツタの切れ目から看板がかろうじて読める。
『闇夜犬猫病院』
女医さんだった。
年齢は30歳から60歳くらい。
長い髪をひっつめにして、
顔の半分くらいの大きさの丸い眼鏡をかけている。
見た目は、
オコジョというか、テンというか、カワウソというか、
要するに、イタチに似ている。
「闇夜オヨヨですう」
頭のてっぺんから、声が出てきた。
獣医さんのあまりの存在感に、私も妻も言葉を失った。
オヨヨ先生は、問診票をちらりと見て、
「ケメちゃあ〜ん、出ておいでえ〜」
と、ゲージの奥でおびえているケメを引きずりだした。
ケメは初めて動物病院に、
大変、緊張していた。
ゲージから出るのも抵抗していたが、
先生は簡単に力ずくで引っ張り出した。
「あらららあ〜、大変ですねえ〜」
オヨヨ先生は、ケメの口元をみて、
指先で折れたキバを触り、
落ち着いて診断した。
ケメは怯えて、すくんでいた。
「お預かりして。手術になりま〜す」
続く
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