2011年11月05日

初めてのお医者さん

DSC02824.JPG

ケメの口元のケガは、
一晩明けても、
出血のあとも生々しく、
相変わらず、
キバは折れて飛び出している。
(上写真参照。アゴが腫れあがって人相が変わっている)
妻と相談して、病院に連れて行くことにした。


我が家からさらに住宅街の奥深く、
小さな動物病院があった。
見た目は一般の住宅なのだが、
建物全体にツタが絡まりひときわ目を引く。
ツタの切れ目から看板がかろうじて読める。


『闇夜犬猫病院』


女医さんだった。
年齢は30歳から60歳くらい。
長い髪をひっつめにして、
顔の半分くらいの大きさの丸い眼鏡をかけている。
見た目は、
オコジョというか、テンというか、カワウソというか、
要するに、イタチに似ている。


「闇夜オヨヨですう」


頭のてっぺんから、声が出てきた。
獣医さんのあまりの存在感に、私も妻も言葉を失った。


オヨヨ先生は、問診票をちらりと見て、
「ケメちゃあ〜ん、出ておいでえ〜」
と、ゲージの奥でおびえているケメを引きずりだした。
ケメは初めて動物病院に、
大変、緊張していた。
ゲージから出るのも抵抗していたが、
先生は簡単に力ずくで引っ張り出した。



「あらららあ〜、大変ですねえ〜」
オヨヨ先生は、ケメの口元をみて、
指先で折れたキバを触り、
落ち着いて診断した。
ケメは怯えて、すくんでいた。
「お預かりして。手術になりま〜す」

続く


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2011年07月26日

真夏のケメとその他の猫(2)


DSC02912.jpg


我が家の庭は近所の猫の集合場所となっている。
なぜか、
その犯人は私の妻だったのだ。



ケメを飼うようになってから、
すっかり猫好きになった妻は、
道行く猫を目ざとく見つけて、
猫なで声で声をかけ、
逃げない猫はたっぷりと撫ぜてあげ、
自宅に近ければ、すぐエサを提供しと、
すっかり、猫おばさんと化している。



以来、我が家に定住したブー子、
毎日3食我が家で食べるモモ、
1日1回やってくるマサトシ、
不定期にやってくるクロスケ、トマト、ミミ、シマオ……
我が家の縁台には、
エサ入れと水の容器が常設され、
ふとみると、数匹の猫が並んで食事をしたりしている。
ときには、鳩より大きい鳥がついばんでいたりする。



ほほえましい光景を楽しんでいるうちはいいのだが、
やはり、オス同士は必ず敵対するようで、
うなりあう大きな声がご近所に響き渡る。



う〜うう〜ふぎゃにゃあ〜にゃあ〜
にゃあ〜にゃぎゃらあ〜にゃにゃあ〜〜



そして、
ドタン、バリン、ドタドタドッスン!
ギャアアア〜〜〜!
そのうち、ご近所から苦情がくるな。



ある日の夜、ケメが外出から帰ってきた。
何事もなかったように、
丸くなって体をなめ始めたケメだったが、
なんと、口から激しく出血しているのだ。
しかも、キバが折れ、口の中から斜めに飛び出している。


続く。


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2010年10月04日

真夏のケメとその他の猫(1)

今年は春先から天候不順の日々が続いたと思ったら、
夏は歴史的な猛暑となっている。
昨年からほっておきっぱなしの我が家の庭は、
雑草が地面をおおいつくし、
勢いよく背を伸ばしている。


ああ、嫌だ、嫌だ。


私は我が家のシンプルな庭が大変気に入っているのだが、
夏の草むしりだけはやりたくない。
しかし、雑草を伸ばし放題にしては、
まるで廃屋のようで見栄えは悪いし、
蚊だらけになってしまう。
このままでは、ご近所トラブルの元だ。


ある朝、一念発起、
私は、庭に出て、草むしりを始める。
中腰での作業を続けていると、
すぐに腰が痛くなる。
顔を上げて、腰を伸ばしていると、
いつの間にか縁台に座ったケメと目が合う。


『オヤジ、何してんの?』
後ろ足で首筋を掻きながら、
さほど興味はなそうである。
私は力任せに雑草を引き抜き続ける。



『あんまり、俺のシマ荒らさないでくれよな』
強い陽を浴びて、暖かい敷石にごろりと横になる。


そこに現れた茶トラ猫一匹(写真参照。奥がケメ)
これは、ケメの鼻面に大きなキズをつけたと思われるモモだ。
我が家の庭をどうどうと歩いている。
ケメのほうがおびえているようである。
なにやら、不吉な予感が……。
しかし、これは、序章に過ぎなかったのだ。


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2010年04月25日

惨劇の夜


深夜1時を過ぎたころ、
私は自室でパソコンに向かい仕事をしていた。
住宅街にある我が家の周囲は静まり返っている。
そのとき、
あたりの静寂を破る一陣の風のような雄たけびが!


ふぎゃぎゃあぎゃあぎゃぎゃあ〜!


ガタンドスンバリバリドタ〜ン!


ケメかもしれない。
小1時間前に出かけていったきりだ。
庭に面した部屋の窓を開け、
ケメ、ケメ、ケメと呼んでみた。


庭の奥の暗闇から、
ざ、ざ、ざぁと音がして、
ケメが現れた。
出入りを終えて負傷した用心棒の素浪人の風情である。
座敷に倒れこんだ。


鼻筋にくっきりと切り傷が!
深い傷跡から、一筋の流血もある。

『ケメ、どうした? 大丈夫か?』
ケメは、弱々しく、シッポをふるばかり。
『誰にやられたんだ? モモか?』
ケメは大きな瞳に涙を浮かべ、しっかりとうなずいた。
ように、見えた。

嫌がるケメの鼻面を押さえて、
傷跡を拭いてやり、
様子をみることにした。

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2010年01月17日

蜜月時代、そして……、

DSC02042.JPG


モモは毎日やってくる。
若いだけにケメより元気だ。
ケメの前後を走り回り、
我が家にも勝手に入ってくる。
アミ戸を破られ続けても困るので、
気づけば窓を開けて、
招き入れている始末。


遠慮もなしに、
ケメのエサを食べ、
水を飲み、
座布団に丸くなると、
あっという間にお昼寝に入り、
おいおい大丈夫なのかという心配をよそに、
我が家に泊っていくのかと思いきや、
深夜に暴れだし、帰っていく。


ケメも当初は弟分ができたと嬉しそうに見えたが、
家の中に堂々と入り込み、
自分のエサを遠慮なしに飲み食いし、
寝心地のよい布団の上を奪われる日々が続くに至って、
蜜月時代は終わりをつげたのだった。
そして……、

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2009年11月15日

弟分登場!




ある日の夕暮れ時、
私が自宅の座敷に足を踏み入れると、
一匹の猫と出くわした。
猫はぎょっとしている。


茶トラ猫であるが、ケメではない。
ケメよりずっと小柄である。
外から網戸越しにケメが覗いている。
やべ!親父にみつかっちまった。逃げろ。
と、ケメ。


小柄な茶トラ猫は、
網戸の下の部分の破れ目に頭を突っ込むと、
網戸を突破して逃げていった。
ケメも一緒に姿を消した。


それ以来、
モモ(桃太郎)は毎日現れて、
エサを食べて帰っていく。
もしかして、ミミの弟かなと思って、
モモと呼んでいる。

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2009年07月07日

ケメの居場所

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梅雨の晴れ間の蒸し暑い日、
私が布団を干して、
ふと見ると、
ベッドのすのこ板で涼をとっている。
まさに、すのこの活用。(写真上参照)


はたまた、雨が続き肌寒い日。
ケメはどこにいったかと探してみると、
押入れの奥にしまった冬用の掛け布団の中にすっぽり。
季節にとらわれぬ自由な発想で暖をとっている。
(写真下参照)

猫って、賢いのね。

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2009年06月02日

ケメに熱愛発覚!?(2)

DSC01772.JPG

昨年お伝えしたケメのスキャンダル(?)について、
続報をお伝えします。
この二人しっかり続いていました。
我が家の庭で逢瀬を楽しんでいたのです。
おまけにミミはしっかり食事もして帰りました。
その後も度々、見かけています。

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2008年10月28日

ケメに熱愛発覚!?

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我が家の庭は、
近所の猫の通り道になっています。
私が確認しただけでも、
10匹近くの猫が行き交っています。
ケメはヒマがあると(いつでもヒマか)、
庭をじっと監視して、
警戒態勢で臨んでいます。


といっても、
彼の監視は大変気まぐれで、
陽だまりに寝転んでゴロゴロとのどを鳴らしているときは、
ほら、ケメ、クロが来たよ!
いいのか? 我が物顔で歩いてるぞ、
とせっついても、見ようともしません。
ところが、
いつの間にか臨戦態勢に入ると、
静かな住宅街一面に狂気の雄叫びが響き渡るのです。
うぎゃにゃぎゃぎゃにゃあああああ〜〜〜!


平和的なのか、
好戦的なのか、
ようわからん猫です。


で、
ある日、ケメが庭におりて、何かしています。
あれ、ケメが2匹!?
いやいや、
よく見ると茶より白が多くて、
ケメとは明らかに違う猫が、
ケメと肩を並べて歩いています。
(写真をご参照ください)

あわてて、家の中から妻を呼び寄せ、
息を潜めて、様子を伺います。


ケメはその猫(仮にミミと名づけました)をエスコートするように、
庭を案内しています。
その姿は、
港の見える丘公園を散歩する若い恋人たちのようでもありました。
やがて、
エスコートしていたはずのケメが、
途中でもよおしてしまったようで、
地面を掘り、小用に入りましたが、
ミミはおとなしくその様子を見守っておりました。


私と妻は大いに盛り上がり、
さすが、わが息子(!?)、意外にモテルだの、
年恰好もぴったりだなどと勝手なことを言い合い、
ミミの細身できれいな容姿もすっかり気に入ったのでした。
ちょっと、
デビューのころの原田知世って感じかな?
古いなあ。綾瀬はるかってことで、どう?
どうも何もないんですが。


ケメ、その後、恋の進展はどう?
にゃあ〜、ごろごろごろ(順調だよ)
  
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2008年09月30日

ケメの実家が判明!

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ケメが我が家にやってきて、
もう3年。
すっかり、家族の一員となっている。
何だか、
ずうっと昔から我が家にいたような。
   

妻がケメの背中をなぜながら、
ケメに話しかけている。
お前はどこから来たの?
飼い主は心配してないの?
ケメはゴロゴロと喉を鳴らしている。
   

そんな戯れのやり取りは、
その答えを聞きたいわけではなく、
お互いにかけがえのない存在になったことを、
確かめるためのように思えていた。
   

しかし、しかし、
何と、何と、
突然、ケメの実家が判明してしまったのだ。
   

それは、思いのほかご近所で、
我が家の斜め前のお宅であった。
斜め前といっても、
坂道になっている下の段のお宅で、
町内会も違うので、
引越しの挨拶にタオルは置いてきたけれど、
それっきり、
お付き合いはなかったのだ。
  

それが、ある日、
私が庭木の枝を切っていたら、
切り落とした枝が、
そのお宅の敷地に落ちてしまったので、
ちょうど庭にいた奥さんに声をかけた。
  

すいません、後で掃除に伺います。
  

気にしなくていいですよ。
こちらもお世話になってるし。
  

? ? ? お世話?……何のことだろう?
  

うちの猫、
お宅にお邪魔してるでしょ?
ほら、茶色のシッポの曲がったの?
  

はい、(え、え、え? うちの猫?)
  

ほら、うちはこいつがいるでしょ。
と、奥さんは足元でほえている犬を指さした。
確かに、この犬はかなりの番犬気質で、
通行人には100%吠え掛かっている。
私が我が家の庭に出ているときも、
何度かほえられた。
  

もらってきた猫なんだけど、
これがほえるんでいつかなくなっちゃたのよ。
  

ああ、そうなんですか、
ウチにずっといますよ。
  

それじゃ、迷惑でなかったら、
可愛がってください。
よろしくお願いします。
  

わかりました。
  

さっそく、妻にも報告。
いったいどこから来たのか、
ミステリアスな謎の猫は、
はす向かいのお宅から、
犬に吠え立てられて逃げてきたと判明。
ああ、謎がとけて、
すっきりしたと思う反面、
なあんだ、たいした素性じゃないなと、
ケメの評価は下降したのでした。
  

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2008年09月10日

ケメの大好物

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ケメの大好物はチクワです。
といっても、
ドライフードのほかに与えたことがあるエサはチクワくらいで、
人間の食料、特に加工食品は体に悪いと思い、
与えていません。
チクワも塩分が入っているので、
よくないとは思うのですが、
一度あげてみたら、
案の定、大喜びして、
冷蔵庫の前でお座りして催促する様子がかわいらしく、
ついつい、
ほだされてあげてしまいます。
妻が一日家にいるときは、
数時間おきにあげているので、
ドライフードよりチクワが主食になりかねない勢いです。


ところが、
妻が仕事で外出し、
私が一日自宅にいる日など、
ケメは、
あ、今日はこいつか、
ついてないなという顔をします(本当)。
しかし、
背に腹は変えられないので、
ゴロゴロと喉を鳴らしながら、
私の足に頭をこすり付けてきます。


しかし、
いちいち相手にしていてはキリがないので、
私は、
ドライフードをエサ入れに満杯にして、
後は知らん顔。
ケメは、
それじゃねえよ!という顔をしている(本当)。


しばらくほおっておくと、
おもむろに部屋の壁で爪とぎを始める。
ふにゃうにゃふにゃあと叫びながら、
畜生!
チクワくれねえなら、こうしてやる!
畜生!畜生!
とでも言うように(本当)。


こうして、
我が家の壁のクロスはあちこちがぼろぼろに。
私は補修用のノリを取り出し、
せっせとクロスを貼り直す。
ああ、面倒くさい。
こんなことなら、
チクワやっときゃあ、よかったよ。


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2008年08月22日

いつの間にか、ケメのトイレが…

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ケメとの暮らしが気楽でよかったのは、
以前にも書いたが、
ケメがトイレを庭で済ませてくれるから。
   

おんぼろ我が家の自慢は庭くらいで、
庭木や草花が一杯に植えてあり、
土の部分も多いので、
ケメのトイレの場所には事欠かない。
  

室内にもケメ用トイレは設置してあるのだが、
これを使用するのは、
よほどの悪天候のときに限られた。
ゆえに、
日々トイレの始末に追われるような
猫の飼い主の大変さは味わっていなかった。

   
しかし、しかし、
ところが、ところが、
ここに来てケメのトイレ事情に変化が。
 
  
たまにしか使わないとはいえ、
トイレの砂はやがて減っていく。
そろそろ買い足さなきゃなと思っていたとき、
スーパーで安売りの砂を見つけて購入した。
  

今までは、
紙の粒状のものを使用していたのだが、
今回購入したものは細かい砂である。
大袋で購入したので、
トイレにたっぷりと敷き詰めた。
  

すると、
ケメがすぐに砂のにおいをかいでいる。
そして、
おもむろに御使用になった。
小、のようである。
御使用後も、
なんだか嬉しそうに砂をかき混ぜている。
  

『新しい砂を、お試ししたのかな?』
なんて、
甘いことを考えていたのだが…。
それから、
また数時間後にも、
砂を掻き回す音が我が家に響いた。
梅雨があけたとはいえ、
最近の異常気象で、
激しい夕立が頻繁だったせいもあり、
外に出られないからだろうと、
あまり、気にもしていなかったのだが。
  

あるとき、
外出していたケメが戻ってきて、
網戸に前足のツメをかけ、
開けてくれと催促していた。
私も妻も部屋にいなかったため、
催促はエスカレートした。
ケメは立ち上がり、
両前足を網戸にかけ、
うにゃ、うぎゃ、うにゃあ〜と奇声を発しながら、
網戸をのしのしとゆすぶっていた。
  

別の部屋にいた私が気づいて、
あわてて網戸を開けてやると、
ケメは憮然とした表情で私を一瞥し、
『早く気づけよなあ』とでもいうように、
にゃぎゃああん、と一声鳴いた。
  

『すまん、すまん、ケメ、
外は暑かったんだよな』
と詫びる私を無視し、
ケメは一目散にトイレへ。
そして、
すぐに座って、
御使用になった。
つまり、
トイレに行きたくて、
庭から家に入ってきたのだ。
  

そう気づいて観察すると、
細かい砂がたっぷり敷き詰められたトイレは、
すわり心地がよさそうである。
以前の紙の粒はかなり大粒だったので、
ケメはバランスを崩さないように、
そろりそろりと座っていたのを思いだした。
ところが、
細かい砂は柔らかなクッションとなり、
すわり心地が劇的に改善されたに違いない。
掃除をする際にかき回していると、
その感触のよさに私でさえうっとりしてしまうのだから。
  

すわり心地にかき回し心地のよい砂が気にいって、
ケメは、
トイレは庭でなく室内でするものと、
意識の転換をはかったようである。
ほどなく、
大、もされるようなった。
  

結局、
人並みの猫飼い主と同様に、
トイレ始末の手間を味わうようになった。
以前は、
庭のトイレから戻ったケメのツメに入った土を、
嫌がるケメを押さえつけて拭いてやっていたのだが、
その手間がなくなり、
プラマイゼロと言えなくもないのだが…。
  
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2008年07月10日

ケメの好きな飲み水

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猫はあまり水を飲まないので、
腎臓系の病気になりやすいという。
だから、
ケメにもなるべく水を飲んでもらうよう、
食事が済んだら、
水飲み用の容器を顔の前に持ってきてやる。


しかし、
素直には飲まない。
というか、
この専用の容器からは、
まったく飲まないのだ。


食事を終えると、
ケメは悠然と歩いて、
風呂場に向かう。
風呂場のドアが閉まっていると、
ひと鳴き。
『水、くれえ〜』
 

水を飲むのは、
風呂場でと決めているのだ。
人間が、
妻か私だが、
すぐ、
新鮮な水をくんで、
目の前に置いてくれるからだ。
水道からくんだばかりの水を好むようである。
カルキ臭いのではないかなと思うのであるが。


これに、
冬場は風呂のお湯も加わる。
人間が風呂に入っているのに気づくと、
ケメはドアの前で座って待っている。
人間が出てくると、
入れ違いで入っていく。


床に残ったお湯をぺちゃぺちゃと舐めているので、
手桶にお湯をくんであげたところ、
おいしそうに飲んでいる。
寒い日には体も温まるだろうし、
人間のダシもきいているに違いない。
我が家では、
これを人間茶と呼んでいる。

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2008年06月25日

ケメの求めるもの

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ケメと暮らし始めて、
早3年目を迎えようとしている。
もともと、
どこから来たかもわからない渡り猫ではあるが、
既に去勢済みなので、
今後も渡り歩くということはなさそうだ。
猫は食事と安眠できる場所に安住するというので、
我が家はこの条件にはぴったりである。


夫婦二人して甘やかした結果、
食事は食べ放題だし、
家は4LDKに人間二人なので、
ジャマされずに眠れるスペースはたくさんある。
日々の気分とおそらく温度によって、
ケメは家の中の居心地のよい場所を選んで、
眠り放題だ。


食事の合間に少し要求すれば、
親ばか飼い主が、
『何か、欲しいのかな?』
と、オヤツの心配までしてくれる。
最近、
この要求がエスカレートしてきた。


ケメのオヤツの基本は、
チクワである。
試しにあげたところ、
目の色を変えて、
飛びついて来た。
以来、1日に1、2回、
1本の4分の1ほどをあげている。
(ちなみに、サキイカも大好き)


『にゃがあ〜』とケメが鳴く。
語尾がにごるときは、
何かを要求しているときである。
『チクワかな?』
妻がすぐキッチンに向かい、
ケメは尻尾を立てて、
ギャロップでついていく。


しばらくすると、
また、
『にゃがあが〜』
『さっき、あげたでしょ』
『にゃがあがあがぎゃあ〜』
『しょうがないわね』
これの繰り返しである。


夜中でも容赦ない。
軽い要求の鳴き声がしたので、
寝たふりをして、
無視していた。
(もちろん、本当に眠たかった)
すると、
妻と私の布団の間にやってきて、
妻と私の両方を見比べた後、
『にゃあがやぎゃぎゃぎゃあ〜』
と大音量で鳴き声をあげたのだ。


どちらを攻撃すれば勝算があるかを判断できなかったので、
双方に効果があるように、
妻と私との等距離に位置し、
同時に起こせるようなボリュームで鳴いたのだ。


以前は、
小学生が『ファミコン買ってえ〜』の要求だったのが、
いつのまにか、
高校生が『バイク買ってくれよ!』の要求になっていた。


妻か私、
根負けしたほうが、
夜中にキッチンの冷蔵庫から、
チクワを出しにいくことになる。


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2008年05月25日

ケメの好きな場所

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我が家に住みついてから2年が過ぎ、
ケメはすっかり、
家猫になったようである。
毎日の外出も、
せいぜい家の周囲を一回りするくらいで、
庭の隅でトイレを済ますと、
すぐに縁台に飛び乗り、
家に入れろと鳴き声をあげる。
つまり、
一日のほとんどの時間を家の中で過ごしている。



そして、
家のなかでも、
季節によって、
眠る場所、くつろぐ場所が移っていく。



冬はほぼ1階の和室にあるコタツの中が定位置であり、
ときどき、
押入れの中や日のあたる窓際が加わる。
やがて、
暖かくなってくると、
ソファの上になり、
自分のベッドの中になる。
さらに暖かくなると、
カーペット敷きの2階の廊下、
布張りのイスの上と移っていく。



そして、
夏になると玄関のフローリングが冷たいので、
定位置になるが
(ここにいると、
居間とキッチンを出入りする妻の動きを把握でき、
何かをねだるタイミングを逃さないためのようだが)、
さらに、
家の中のいたる所がケメの寝場所となる。



ある日、
帰宅したときに玄関の下駄箱の上に乗って眠っていた。
そこには、
小さな観葉植物、
陶器でできた犬や七福神の置物、
玄関のカギやインカンなどを入れた小物入れ、
などなどが雑然と置かれている。
その間で、
リアルの生き物であるケメがすやすやと眠っている。
なかなか、
ユニークかつ心温まる風景であった。



はたまた、
家の中で行方不明となったケースを3つ。



1つ目は、
2階の和室の押入れの中に入れてあった旅行カバンの中にいた。
ケメが見当たらないので、
家中をさんざん探した後に押入れを除くと、
暗闇に光る二つの目。
旅行カバンのわずかに開いた口から入り込み、
その隙間からこちらの様子をうかがっていたのだ。
即、逮捕して、引きずり出した。



はたまた、
妻の部屋にある洋服ダンスの天板の上。
タンスは妻の嫁入り道具で結構な大きさなので、
天板の上は、下からは見えない。
このときも、家中探した後に、
なんとなく、この部屋に気配を感じ、
踏み台に乗って覗き込むと、
見るんじゃねえよ!という顔をしたケメがいた。
タンスを傷つけないように、
慎重に引きずりおろした。



傑作だったのは、
普段入れようとすると暴れて嫌がるケージの中に自ら入り、
眠っていたこともあった。
蒸し暑い日で、
プラスチックの冷たさが心地よかったようである。
カギをかけておいてあげた。



そして、
現在のお気に入りは玄関に2つ積んである段ボール箱の上なのだ。
荷物を運び出そうと、
いったん玄関に積んでおいた箱の上をケメが気に入ってしまい、
毎日、そこで寝ているので、
なくなってしまったらかわいそうかなと、
運び出せずにいる。


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2008年05月04日

ケメはどこ?

DSC01271.JPG



『どうしてる?』
『さっき出た』
これは、
我が家の夫婦の会話。
片方が外出から帰ってきたケース。


『どこ?』
『ずうっと、ベランダ』
これも、
我が家の夫婦の会話。


『まだ?』
『縁台乗ってる』
これは、
しばらく外出してるようだけど、
まだ帰ってこないのか?
今、帰ってきて、縁台に乗ったところ。
という会話。


要するに、
我が家の夫婦の会話はすべて、
ケメの行動・所在を確認することをベースとしている。


ある雨の日、
私と妻は窓を締め切って、
1階のリビングにいた。
ケメは外出していて、
しばらく帰ってこない。
私と妻は口には出さないが、
気にかかり始めている。


『ケメ、遅いなあ』
こらえきれずに、私が口に出す。
『どこにいってるのかしらね』
間髪を入れず、妻が返事をする。
やはり、同じことを考えていたのだ。


ふと、気づくと、雨音に混ざって、
ケメの鳴き声が聞こえた気がした。
『あれ、どこかでケメが鳴いてる』
テレビの音声を消して、耳を澄ます。
遠くで、聞き覚えのある鳴き声がしている。
にゃあにゃあにゃあ、と途切れなく聞こえている。
どうやら、ケメのようだ。


『何だか、上の方から聞こえるな』
私たちは2階に上がってみた。
ケメの鳴き声は大きさをまし、
絶え間なく聞こえている。
2階の窓を開け、ベランダに出る。
ケメの姿は見えないが、
鳴き声はすぐそばから聞こえる。


ベランダから覗き込むと、
1階の屋根の上に乗って、
うろうろとさまよっているケメを発見した。
鳴き声は緊迫度を増し、
近所に響き渡っている。


『ケメ、どこから来たんだ?』
私たちもケメもずぶ濡れである。
ともかく、ケメを家に入れたいのだが、
ベランダの柵は細い格子で、
私の腕を差し込むのがやっとの幅しかない。
ケメは屋根の上で、
ニャアニャア鳴いている。


仕方ない。
私は腕を思いっきり伸ばすと、
手のひらでケメの頭をわしづかみにした。
それから、頭ごとケメを持ち上げ、
柵の上から逆の手を伸ばして、
ケメの背中をつかんだ。
妻も手を貸し、
やっとのことで、ケメを抱き上げ、
室内に入れた。
途中、ケメが暴れたら、
下に落としていたかもしれない。
冷や汗ものであった。


ある日、
2階からドサッという音がした。
しばらくすると、
ケメがにゃあ〜んと鳴きながら、
リビングに現れた。
ケメは自力でベランダの柵を乗り越え、
2階の網戸の下の破れ目を押し広げて、
自由に出入りを始めたのだ。


その後、
目撃する機会も訪れた。
ケメは屋根の上でジャンプすると、
1メートル以上ある柵に身を投げ出すようにしがみつき、
ベランダの中に落ちるようにして入ってきた。
たいへん危なっかしい。
そのうち足を滑らせて、
転落する危険もあるとは思うのだが。
話して聞かせれば、
納得して自重するヤツでもないし。
好きなようにさせておくしかないのだが。


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2008年04月18日

ケメの外出と出迎え

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ケメは外猫暮らしが長かったせいか、
一日中家にいることはない。
かなり強い雨が降っている日には、
ちょっとだけ窓やドアの前で思案はするが、
それでも、結局、外に出かけていく。



ケメが我が家に居ついて2年半くらい。
台風で暴風雨の日に丸々2日間外出できなかったくらいで、
日々、外出していく。



一度、室内のトイレをした後に、
盛大に砂をかき回して、
トイレの周囲に撒き散らしたのを叱ったことがあった。
それがトラウマになったのか、
室内のトイレはほとんど使わなくなった。
強い雨の日も玄関のドアから飛び出すと、
門扉の脇の植え込みの土の部分で用を足し、
降りしきる雨に首をすくめるようして駆け戻ってくる。



もちろん、外出はトイレのためだけでなく、
門柱の上に乗って、
道行くクルマや人を眺めているのも好きなようで、
ふと気づくと、
何時間も同じ姿勢で座っていたりする。
また、近所の巡回をするのも好きらしく、
4〜5時間姿が見えないこともよくある。



ケメが外出したときに、
私と妻も外出して帰ってくると、
たいていは玄関のドアの前で待っていて、
ニャアニャアと鳴く。
嬉しそうに甘えて鳴くので、
可愛いなあと思っていたら、
そのうち、
その泣き声が妙に強くにごるようになった。
ニャアギャアアアア〜ギャアニャア〜、
といった感じ。


どうやら、これは、私たちを非難しているようだ。
どこに行ってやがったんだ、
俺を外に放り出したままで、
寒かったんだぞお〜!
腹減ったんだぞお〜!
ニャウリンガルを使わなくてもよくわかるニュアンスだ。



ごめんね、ケメちゃん、さあお入り。



ある日、私と妻が帰ってくると、
外出していたケメは玄関の前にはいなかった。
玄関のカギを開けていると、
ケメが走って戻ってきた。
ニャンニャンニャンと鳴きながら。
しまった、間に合わなかった。
でも、待ってたんだぞとごまかすように。

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2008年03月22日

冬に旅立つ-3

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名残りの盛り行動によって、
2週間の旅から帰ってきたケメは、
それからもしばらくの間は、
軽い興奮状態が続いていたようだった。
私と妻にも、
なんとなくよそよそしく見えた。
目つきも険しく、
盛りとは野生なのだなと思わせた。




しかし、
数日が過ぎ、
ケメは以前と変わらない、
気ままで怠惰な暮らしを送るようになった。
表情も穏やかになり、
陽だまりでゴロゴロと転がり、
喉をグルグルと鳴らして、
妻に甘えている様子を見ると、
盛りの時期の姿が嘘のように思えてくる。



ケメちゃん、
やっと元に戻ったね。
妻はケメの腹をこちょこちょと掻いていた。



次の年、
私と妻はおびえていた。
今年もケメは冬の日に旅立ってしまうのだろうか。
去年は2週間で帰ってきたけれど、
次も帰ってくるとは限らない。
年が明け、
1月の半ば、
やはり、
ケメはいなくなった。



ケメちゃん、今年も行っちゃったね。
また、帰って来るよね。
妻と話していると、
庭にケメがいる。
何だ、今年は1晩だけか、
ケメ、お帰り、入っといで。



ケメは入ってこなかった。
我が家の庭で、
こちらの様子を伺っているのだが、
目つきは鋭く、
毛が逆立ち、
明らかに緊張状態に入っている。
野生がケメを捕まえている。


その後、
ケメは1日1回は我が家の庭に現れたが、
家の中には入ってこない。
それが10日間ほど続いてから、
ケメはよたよたと家に入ってきた。
体を拭いてやると全身が薄汚れて、
やせて2回りくらい小さくなっていた。
猫の暮らしも大変なようだ。
そして、
ケメの輝かしき日々は終了した。



3年目の今年、
ケメにまた春の訪れはあるのだろうか。
あれ、ケメ、何だか毛羽立ってない?
そうだな、何か、変な顔してるな。
これが、2〜3日で終了。
そして、
我が家の駄猫暮らしである。
どうやら、
ケメの命の叫びはほぼ消えてしまったようである。


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2008年03月15日

冬に旅立つ-2

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降りしきる雪の夜に姿を消したケメ。
2週間の時が流れ、
結局、
我が家とは大した縁ではなかったということだと、
私も妻も諦めかけたころ、
ひょっこり、
帰ってきた。



いつものように、
縁台に乗り、
ガラス窓越しに我が家の座敷の中を覗き込んでいた。



私と妻は狂喜乱舞した。
ケメちゃん、お帰り、
ケメちゃん、どこ行ってたの?
さあさ、お入り、
おなかは空いてないか?


ケメは無表情で家の中に入ってきて、
餌を食べ始めた。
背中の毛がよじれて、
黒く汚れ、あちこちダマになって、
全身がボロ布のようである。
腰まわりの肉が落ち、
げっそりと痩せている。
ふっくらとしていた顔はとがって、
野生のキタキツネのようだ。


この2週間で、
いったい、
ケメに何があったのか?
猫と初めて接する私と妻には、
検討もつかなかったのだが、
その後、
調べたところによると、
どうやら、
盛りの行動であったらしい。
しかも、
ケメは去勢済みであるので、
盛りの名残りというらしい。



2週間という時間に渡り、
ケメはメスを求めて、
たとえめぐり合ったとしても、
成就するはずのない衝動に駆られて、
さ迷い歩いたということなのだ。



途中で、
他のオス猫との争いもあったのかもしれない。
腹には、
一筋のキズがついていて、
数センチに渡り毛が抜け落ち、
血が滲み出ていた。

つづく。

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2008年03月07日

冬に旅立つ-1


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ケメが我が家にやって来たのは、
3年前の秋のこと。
つまり、それから、
冬を3回越していることになる。
 

初めての冬は、
我が家に居ついて2ヶ月余り、
私と妻が、
初めて猫とともに過ごす時間の楽しさを、
実感し始めたころだった。
年が明けた1月の半ばごろ、
厳しく冷え込む日々が続き、
首都圏にも珍しく多くの雪が降った。
 

その夜、
雪は夜半過ぎになっても降り続いていた。
ケメは夜行性の動物らしく、
毎日、
夜間に外出をしていた。
食事をし、
喉を潤してから、
障子の前に座って、
首をひねり私を見て、
窓を開けてくれとねだる。
それとも、
その夜は、
私と廊下で出会うと玄関へと先導し、
ドアを開けてくれと鳴いたのだったろうか。

 

ケメ、今日は寒いぞ。
外出はやめておいたほうがいいんじゃないか?

 

しかし、
ケメは、
頑なに自分の意思を曲げない。
私は根負けして、
ケメを外に出してやる。
庭は一面真っ白、
さらに、
漆黒の闇の夜空からは大粒の雪の切れ端が、
後から後から降ってくる。
ケメは一瞬躊躇をした。
しかし、外出していった。
肉球に雪は冷たいだろうに。

 

その日をさかいに、
ケメの姿は我が家から消えた。
私と妻は激しく動揺した。
覚え始めた猫と暮らす快楽を抜きにして、
この先過ごせるとは思えなかった。
 

元々、
ふらりと訪れた渡り猫である。
私たちがケメに執着して、
捜し歩いたりするのもおかしな話だ。
どこかに、
子猫でももらいにいこうか。
私は妻に、
そんな相談をせざるを得なかった。
ケメが姿を消してから数日の間は、
絶対に帰ってくると主張していた妻も、
その不在が10日を超えるころには、
私の提案に同意するようになっていた。
(おまけに、三毛がいいななんてことまで言い出して)

 
 つづく。


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